「その融資、大丈夫?」年金担保融資、やっていいコト、悪いコト

年金担保融資とは、積み立ててきた公的年金を担保として、貸付を受ける仕組みのことです。
正式に取り扱うことが出来るのは、独立行政法人福祉医療機構が行っている「年金担保貸付事業」「労災年金担保貸付事業」のみです。民間の金融業者が年金を担保にすることは禁止されています。前者は厚生年金、船員年金、国民年金(ただし老齢年金を除く)の受給者、後者は労働者災害補償保険の年金支払を受けている人が利用できます。生活保護受給者は利用が出来ないことになっています。また、申込には、連帯保証人か、信用保証期間に保証料を支払うことで信用保証を利用するかのどちらかが必要となります。
貸付の使途目的は、生業、住居、冠婚葬祭、医療などの資金となっており、現実的には急な入院や手術などの利用が多いようです。
融資可能な金額は10万円から上限250万円の範囲ですが、同時に、需給中の年金の年間総額の1.2倍を越えないこと、定額返済の場合は、1回当たりの返済額の12倍まで、という3つの要件の範囲内での貸付となります。
利息は、年金担保融資で2.6%(平成20年4月1日改定)労災年金担保で0.9%(平成19年12月1日改定)となっています。民間の利息と比べて低金利です。
返済は、年金から天引きされることとなりますので、年金のみで生計を立てている方は、その分生活費が減額されることになります。従って、返済にかかる経済負担を考えて、利用することも必要です。
生活保護受給者でなくても、投資目的やギャンブルなどの、出費、申込者が詐欺被害にあっている恐れがあるなどの、明らかな損益が見込まれる場合や、年金が全額停止になっている、過去に借り入れがあって返済が終わっていない、現況届けなどの事務手続きがされていない場合は、制度の利用は不可です。誰でもすぐに貸してもらえる訳ではありませんので、申込の前には、これらに該当していないかを確かめる必要があるでしょう。
また、高齢者を狙って、公的な年金担保融資と見誤るような勧誘を行う、悪徳業者も存在しています。独立行政法人も注意喚起を呼びかけていますが、騙される高齢者もいるようです。前述のように、民間金融業者からは年金を担保にした貸付は禁じられています。怪しいと思ったら、警察か、社会保険事務所、市役所年金課などに連絡して、確認を行うようにしましょう。

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