動産担保融資の新形態ABLとは?その利点を解説!

動産担保融資とは、車、貴金属、などに代表される動産を担保物として差し出すことで融資を受けるもので、最も普及していたものが「質屋」です。もう少し高額な利用として、自動車を質草に差し出して融資を受ける「車融資」というものもあります。これらはどれも、数万円~高くても100万円台程度の金額を融資するもので、企業の運転資金のような大型の融資には不向きです。質草として差し出したものは、通常、債権者に預けておくことにあるため、その間使用が見込まれる動産は質草にすることが出来ない、という欠点もあります。
従来、中小企業などの銀行はじめ金融機関からの融資は、圧倒的に不動産融資が主でした。しかし、バブルの崩壊以降、不動産の資産価値が急落したことで不良債権を抱えて金融機関が破綻する事例や、債務者、連帯保証人が連鎖倒産や破産に追い込まれ、個人の財産である住宅や預貯金を失うなどの事例が相次ぎ、不動産融資の欠点が浮き彫りとなる形になりました。
元来、不動産融資は「持てる者の利用」であって、不動産を所有せず、貸し工場などで事業を展開する零細企業には不向きです。こうした「待たざるもの」は、資金繰りに高金利であることを知りながら、消費者金融などに頼らざるを得なくなるという現実も問題ですし、他方、仮に不動産を所有していたとしても、1件からの借り入れで足りなければ、抵当がいくつもつくこととなり、多重債務に陥る危険もはらんでいます。
これらの欠点を解消する方法として、最近金融庁をはじめ、金融団体が力を入れて開発を行っているのが「ABL」という、新しい動産担保融資です。
ABLとは、「Asset-based lending 」の略です。これは、従来企業の資本(Aseet)である、在庫商品や、売掛債権、製造機器などの流動資産を一まとめに動産とみなして、それを担保物に差し出すことで従来よりもまとまった資金貸し付けを可能にするものです。2003年以降、徐々に利用者が増加傾向にあり、主に大手銀行からの融資が困難な、小規模零細な中小企業にとって、新たな融資を受ける方法として注目されています。
従来の動産融資と大きく異なるのは、例えば製造機器類、社用車などは、使用しながら担保に出来る点です。日本の商習慣には今まで無かった形であるため、売掛債権や在庫商品までを、担保に差し出すことに、抵抗感がある企業もまだまだ多いのですが、一方で、前述のように資金繰りに制限がかかる不動産担保や、連帯保証制と比べると、融資の幅が広がるという面では望ましい形とも言えるでしょう。

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