バランスシートが読めますか?不動産投資の成否は融資で見る!
団塊の世代が次々退職年齢を迎え、年金制度の破綻が心配される中、にわかに注目されているのが収益用の不動産投資です。年金収入だけでは生活が心配される中、早めに不動産収入を確保しておき、老後に備えようと考えるい人が増えているのか、昨今は40代後半から50代にかけての年代でも、不動産投資や、FXなどの金融商品がホットな話題となっている様子が伺えます。
電車の中吊り広告などでも男性誌女性誌に関わらず、「月収30万円自己資金ナシから始めた私が、○億の資産のオーナーです」と言うような内容の、投資関連記事を見かけることは多いのではないでしょうか?そんなに簡単に儲かるなら、自分も始めてみようか?と考える人がいても無理からぬことでしょう。
ところで、貴方は会計学には明るいですか?会計用語を並べられたら、すらすらと理解できるでしょうか?投資のような流動的なお金の扱いを「キャッシュフロー」と言います。前述「○億の資産のオーナー」は、本当に儲かっているのか?ここまでの記事で、判断は出来るでしょうか?
答えは「NO]です。ここから、種明かしをしていきましょう。
さて、ここで気をつけなくてはならないのが、この場合の「資産」の意味です。日本語の曖昧さから、資産といわれると現金であるとか、有価証券などをイメージしがちなのですが、会計用語で言うところの資産は必ずしも現金とその仲間だけではない、と言うことです。つまり、「○億の価値があるマンション」を、自分名義で持っていたとしたら、それは「○億の資産を所有している」ということには違いありません。
更に、自己資金なし、で投資をスタートしたとすれば、どこからか資金調達をしているはずですね?当然、何かの形で融資を受け、返済をしながら、物件を所有していると言うことになるはずです。つまり、数億の価値があるマンションを持っていたとしても、その価値の大部分が借金、と言う状態であったにしても「持っている」と言うことには間違いないのです。これでは、果たして「儲かっている」といえるのか?非常にビミョーな感覚になりませんか?おまけに、借りた融資のお金も「資産」であり、同時に返すべき借入額は「負債」として計上されて、両方の差し引きがプラスかマイナスか?が判明しないと、本当の意味で「儲かっている」とは言えないのです。
これらは、バランスシート(日本語では「貸借対照表」)と呼ばれる会計上の処理を理解していないと、混乱を生んでしまいます。
このような、一見景気の良さそうな記事をよく見ると、多くは担保融資と、転売による、転売益と、家賃収入だけがキャッシュであって、「資産」と呼んでも実際は借金だらけということが多いというのがわかります。FXなども、レバレッジという借り入れのようなシステムを使っていると、一つ間違えると転落して一気に赤字、ということになってしまいます。投資の設けは資産に対する融資の割合で決まってくるので、必ず両方を確認しなくては判断できないのだ、と言うことを知っておきましょう。