その借り換え、本当にお得ですか?住宅ローン融資借り換えの落とし穴
デフレ傾向が続く日本経済の中で、低金利が10年以上も続くという、過去に例を見なかった異常な経済状況が続いています。預金の金利が低くて利ざやが稼げないという点では、歓迎したくない事態ですが、一方で借り入れの返済を考えるヒトには、これは、繰上げ返済の大きなチャンスでもあります。特に住宅ローンに代表される高額・長期のローンで返済を行っている人は、繰上げ返済を上手に行うことで、預金利息を上回る返済の減額効果を出すことが出来る可能性も高いのです。
こうした状況を背景に、各銀行は、新しい金融商品を多数提供し始めています。一月の生活費を設定しておくと、余剰金を自動的に繰り上げ返済にまわしてくれるサービスや、一定期間・回数の範囲内なら、支払っているローンの返済額を高額することが出来る商品など、繰上げ返済を行いやすくする商品が、続々と発表されています。
こうした新商品の利用をしたいために、借り換えを検討される方が増えています。ところで、2012年現在の「住宅ローン借り換え」は、本当にお得なのでしょうか?
借り換えを検討する際に、必ずチェックしなくてはならないのが「金利の差」です。返済中の融資の金利が、借り換え後の融資の金利を大幅に上回っている時に、はじめて、借り換えを行うことに意義も効果も出てきます。金利の差額が大きいほど、借り換えで生じるメリットは大きくなるものですから、逆に言えば、金利の差がさほど出ない時は、借り換えにかかる事務手数料を考えると、総額ではマイナスになってしまう可能性もあります。
ところで、日本がゼロ金利時代に突入したのが1999年。過去10年以上、日本の住宅ローン金利は、2%前後で低空飛行を続けています。金利の差がほとんどないような状況では、借り換えにはメリットがないという判断になってしまいます。
それでは、もっと金利が高かった15年以上前のローンを借り替えたらどうか?といいますと、こちらは、金利部分の返済の多くが終わっている状況なので、タイミング的に遅すぎることにもなり、手数料の分を考えても、新たに利息を払ってローンを組みなおすことにもメリットがないのです。
もしも、今後住宅ローンを組むことを考えるのなら、繰上げ返済に手数料を必要とせず、金額の変更や繰上げをお手軽にできるような商品を利用することがお勧めです。ネットバンク系には手数料無料の返済が可能なローン商品もたくさんありますから、そうした情報を集めることも大切なことです。