総量規制のウソ・ホント?年収1/3を超えても融資が受けられる?

改正化資金行法の完全施行により、新たに取り入れられることになった「総量規制」は、「年収の1/3以上の貸付を禁止する」という規制を設けたものです。貸金業者からの借り入れによる返済が原因で生活が破綻、多重債務に陥った末に自己破産する案件が多発し、社会問題化したことから、グレーゾーン金利の撤廃と同時に施行されました。
この規制により、真っ先に影響を受けたのが、無職で無収入の主婦や退職者です。また、安定した収入がないフリーターや、派遣労働者などの、短期雇用の人も消費者金融の審査には通らない可能性が高くなりました。また、例えば、定期的な収入があるサラリーマンでも、既に返済中の消費者金融からの融資がある場合は、その分を含めて年収の1/3となります。各利用者の消費者金融との取引情報は、信用情報機関に集められて、融資を受ける際は必ず照会がなされることになります。
こう聞くと、「住宅ローンがある人はそれ以上借りられないんじゃないの?」「マイカーローンがあるから、これ以上は貸してもらえないの?」と思われそうですが、ここが実はしばしば誤解されている点です。
改正化資金行法が規制するのは、消費者金融やクレジットカード会社からの融資に限られます。ただし、政府は内閣府令10条等で、従量規制から除外される融資、及び、従量規制の対象には含まれていても、例外的に認められる融資を別に定めているのです。
総量規制から除外される融資とは、
・不動産の購入目的の融資と、その為のつなぎ融資(住宅ローンなど)
・自動車購入ための、自動車担保融資(マイカーローンなど)
・高額医療の費用目的の貸付
・金融商品取引業者が行う500万超えの有価証券担保ローン
・貸金業者が債権者となる金銭貸借契約の媒介
例外的に認められる貸付とは、
・顧客が一方的に有利になる場合の借り換え
・緊急医療費の貸付
・社会通念上緊急に必要と認められる費用支払のための貸付
・配偶者の年収を合計した場合の三分の一以下の貸付
・個人事業主に対する貸付
・預金取り扱い金融機関からの貸付を受けるまでの「つなぎ融資」
これらの借り入れについては、総量規制は適用されません。ですから、総量規制が思考されたからと言って、何でもかんでも規制の対象になるということではありません。とくに、生命を守るための緊急の貸付、財産を守る目的の貸付は除外、例外とされているものが多いので、チェックしておくことをお勧めします。
もちろん、融資を受ける場合に生計が圧迫されないような計画性は重要です。

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